DISTRICT 37

なにか

医療を疑え 代替医療のトリック

サイモン・シンによるシンプソンズ関連の本が出るときいてワクワクだったけど、そういえばこれを未読だったことを思い出した。サイモン・シンファンの風上にも置けないな。

代替医療のトリック

代替医療のトリック

目次

第1章 いかにして真実を突き止めるか
第2章 鍼の真実
第3章 ホメオパシーの真実
第4章 カイロプラクティックの真実
第5章 ハーブ療法の真実
第6章 真実は重要か?

代替医療プラセボである

代替医療臨床医学の見地からそれぞれ批判していくスタイルで本は進む。しかし、どの代替医療にしても効果が見られていてもプラセボ以上のものでは無いとまでしている。鍼や、カイロプラクティック、そしてハーブも何かしらの効果はあると思っていたのだが、その効果も本書ではプラセボだよと喝破する。

僕からしたらこれらの代替医療は補助的な効果を期待していたのだけど、施術する方としては万能医術として施しているのだとは思わなかった。鍼やカイロプラクティックなら、肩こりとか腰痛とかその辺の治療には効きそうなものだが、風邪にも効きますとか、内臓疾患にも効きますとかとか言われたらそら眉唾だろうと思いそうなものだが、日本とその他の国では意識に違いがあるのだろうか?

プラセボは悪か

コラーゲンを多く含む食事を前にしてプルプル~と言っている人をよく見かけるが、そんな時にただのタンパク質だよ、コラーゲンを食べても希望しているコラーゲンにはならないよと口に出して言いたくても、そこはぐっとこらえる。それは野暮だからだ。しかしプラセボによって効果がもしかして出るのでは?とちょっと思う。これがコラーゲンになるかならないかぐらいならかわいいものだが、こと医療に対してはなんとも躊躇してしまう。だが「病は気から」ともいい、患者に期待を持たせる事はいいのではないだろうか。本書の中でも「祈りは効果ある」と非科学的な事を持ち出すぐらいなので、プラセボの効果を完全には否定していない。

ホメオパシーへの徹底的な批判

第3章でふれながらもそれ以降でも折に触れてホメオパシーをくさしている。他の代替医療の話題をしながらもホメオパシーを引き合いに出して批判する姿は恨みでもあるのかと思うくらいだ。こればっかりは救いようも無いくらいインチキだと確信しているからなのだろう。何らかの成分を何万分の1に希釈したレメディを薬だと出されたら、効果はまったく期待できないと思うだろう。脱水症状には効くという皮肉がとても面白い。

代替医療に力を入れるチャールズ皇太子に対して、扉でチャールズ皇太子にささぐと書くなんてよっぽどの警鐘を鳴らしたいのだと思った。

サイモンシンにはずれなし

とにかくこの人の本は面白い。シンプソンズの本もきっと期待を裏切らないだろう。

それにしても「ビッグバン宇宙論」から「宇宙創成」に変わったようにこの本も文庫本になると「代替医療解剖」に代わる。出版界ではよくある話なんだろうか?

代替医療解剖 (新潮文庫)

代替医療解剖 (新潮文庫)

ビッグバン宇宙論 (上)

ビッグバン宇宙論 (上)

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)